Mes Jours des Ecumes 　　　　　　　―ディーノのうたかたの日々― 犬生は短い・・・。だからディーは毎日一生懸命生きてるんだ。 そんなディーの生活を紹介します。

初めての海…。 車に乗せられるときは、いつだってドキドキ・・・楽しい遠出かも しれないし、怖い所に行くのかもしれない。走り出したと思うと すぐに降ろされるときは要注意だ。『病院』と言うところで、いた〜い 注射をされるかもしれない。 でもこの日は、車はどんどん遠くまで走って、最後に大きな坂道を 上って下りて、やっと止まった。恐る恐る車から出てみると、 今までに嗅いだ事のない塩辛い匂いがした。　「海の匂いよ。」 ご主人様を引っ張って、グングン走って行ってみると、青い水の上に たくさん大きなものが浮かんでる。「船よ。これに乗れば、 世界中のいろんなところに行けるの。」　海は川よりもずっと大きくて、 世界中に繋がっているんだって。

船って素敵だな…。 車よりもずっと大きくて、広い海を自由に走れるんだって。 僕もいつかこんなのに乗って、遠くへ行ってみたいな…。

船を操縦してるつもり（？）

海って大きいんだね…。

潮風の中を歩くのって気持ちいいな。

とある公園で…。

春の初めのある日、ディーは車で大きな公園に連れて行ってもらった。 両脇に広い芝生のお庭やお花畑がある道がずーっと続いてて、 昨日よりも強い春の日差しを浴びて、まぶしく光っていた。 草のにおいを確かめたり、虫探しをしながらどんどん歩いて行くと、 いつの間にか小さな池に出ていた。 池の中にもピンクや白のお花がいっぱい咲いていたんだ。

広い公園なんだね。芝生のほうへ行ってみよう。

どんどん遠くへ歩いてみようよ。

クンクンクン・・・。こんな匂いの草は初めてだな。

変な虫見つけた！

あれ、こんなところに池がある・・・。

わあっ！見てごらんよ！ 池の中にいっぱいお花が咲いてる！

近くまで行ってみてもいい？

お花の中をすいすい泳いだら気持ちよさそうだね…。

毎日が、冒険。

ディーにとってお散歩は毎日新しい発見の連続だ。 昨日はからからに乾いていた草花が、今日は露に濡れていたり、 お花の上でチョウがきょとんとこっちを見つめていたり…。 今日は、いつもの道にピンクの花びらがいっぱい落ちていた。 口に入れてみると、甘い春の味がした。「ディーったら、お花は 食べるものじゃないのよ！上を見てごらん、桜が満開よ。」 だけど、ボクからはあまりにも遠くって、ピンク色の雲にしか見えない。 花びらをもう一つ口に入れてみると、またふんわり甘い味が口の中に 広がって行く。「ディーは本当に食いしん坊ね。 あんたにはお花もクッキーもおんなじなのね。」 あきれたようにご主人様は言うけれど・・・。 気づいていないだけなんだ。ディーだってちゃあんと ご主人様とおんなじようにお花を見て楽しんでるってこと…。 上ばっかり見てないで、たまには地面の花びらも見てごらん。

その高さからじゃ、ピンクのじゅうたんにしか 見えないだろうけど。 ディーにはちゃんと見えるんだ。

2枚の重なった花びらは、ピンクのチョウの羽みたい…。

パンジーも満開だね。ちょうどディーの目の高さの花なんだよ…。

お留守番…。

ご主人様がお出かけの準備をする音が聞こえてきたら、 ボクはソワソワ。ボクのお散歩かな？それとも・・・？ ボクのおやつがしまってある戸棚をあける音がして、 リュックを持ったご主人様の姿が見えたら、ボクはワクワク。 でも、お仕事用のバッグを持っていたり、お洒落なコートを 着てたりすると、絶望的。ボクは置いてきぼりだ。 サークルに入れられて、一人ぼっちで、いつ帰ってくるかわからない ご主人様を待ってないといけないんだ。 長くお留守にするときは、ヘンな形の入れ物にチキンクリームを詰めて、 「ほら、ディーの好きなものあげるよ！」と言って、 ニッコリ笑って差し出す。あれは悪魔の微笑なんだ・・・ チキンクリームは大好物だから、ボクが思わず飛びついて 夢中でなめているすきに、こっそりいなくなってしまうつもりだ。 クリームをなめ終わって、気がついてみるとしーんとしたお家で ボクは一人ぼっち・・・。

「ほら、ディー、 大好物だよ！」 「えっ、チキンクリーム？」

チキンクリームは、おいしいけれどボクには悲しい味なんだ…。 ときには、空っぽになった入れ物と一緒に何時間も一人で待たされる。 「ご主人様のバカ！帰ってきたら噛んでやる・・・。」 うとうとしていてふと目が覚めるたびに暗くなっているお部屋で、ボクは復讐の方法を考える・・・。

あれ、ディーだーい好きなんだよね…。

クリームはすぐになくなっちゃう・・・空っぽ。

こんなに長いことディーを一人ぼっちにするなんて…

帰ってきたら、大事なお洋服を噛んで穴開けちゃうぞ！

2010年7月4日の日曜日・・・。

今日はディーにとっては特別な日だ・・・今日でボクはちょうど一歳。ご主人様がこっそり 買っておいてくれた小さなケーキに小さなローソクを一本だけ立ててお祝いした後、 はりきって「バースデイ・ウォーク」（二人で作った言葉だ）に出かける。 雨上がりのさわやかな日曜日、水かさの増した川では、大きな鳥が勢いよくダイブして、 気持ちよさそうに一人で水浴びを楽しんでいる。 泳げないディーは、シロツメクサがいっぱい植わった草むらを駆け回った。 いつの間にか夏が来てたんだね…。いつもの道を歩いてると、だんだん暑くって 息が切れてきちゃった。日陰を見つけて早速寝そべって、ひんやり湿った地面の感触を 楽しんでると、「汚れるからやめなさい！」ってリードを引っ張って叱られちゃった。 だけど、ボク達犬は人間なんかよりもずーっと暑さを感じてるんだってこと、 忘れないでほしいんだよね…。

気持ちよさそうに泳いでる！

泳ぎ終わって得意げに羽を乾かしてるよ…。

ディーは泳げないんだもん…。

泳ぐかわりに草むらを思いっきり走っちゃおっと！ ちょっと湿ってて気持ちいいな。

今日は暑いな、もう夏なんだね。 アジサイもくたびれちゃってるみたい。 7月生まれのディーだけど、 去年の夏はお家のなかで 過ごしたから、夏の暑さを 知らないんだ。アジサイを 見るのもはじめて・・・。

疲れちゃった・・・日陰で一休みしよっと。ひんやりしてて気持ちいいな…。

松ぼっくり見いつけた・・・。..引っ張らないでよ、ディーは休憩中なの！

学習…。ディーだって、毎日ただ食べて寝て遊んでるだけじゃない。色んな事を学習してるんだ。

たとえば、人を噛んではいけないってことは赤ちゃんの時に学んだし、 昨日はまた大きなことを学んだ・・・ お家のなかで大きな声で吠えてはいけないってこと。 ボクが大声でほえてるとご主人様は、リビングからボクを「追放」したり、 おやつを没収」「したり、あの手この手でやめさせようとしてきたけど、 ボクには吠えるのが悪いことだってわからなかったんだ。だってボクたちの 先祖はキツネの穴に入って行って、「キツネさん捕まえたよ！』って、 ご主人様に大声でほえて知らせるのが仕事だったんだもの。 大声で吠えるのは、ボクたちのDNAに刻み込まれていることなんだ・・・。 昨日ご主人様のお友達が遊びに来てお泊りして行った。ボクはお客様が 大好きだから、嬉しくっていっぱい一緒に遊んだ。だけど、夜になると 「じゃあね、ディー、お休み！」って言って、ボクだけ仲間はずれにして 隣の和室に二人で行っちゃった。それから二人でヒソヒソおしゃべりして いる声が聞こえてきて、ディーは悲しくなって、「ディーも仲間に 入れてよ！」って大声で吠えて訴え続けた。するとご主人様は ものすごく怒って、ボクよりも大きな声で「いいかげんにしなさい！ やめないとお家から追い出してしまうよ！」って叫んだ。 それでディーは学んだんだ。ご主人様があんなに怒るんだもの、 やっぱりお家のなかで大声で吠えるのはいけないことなんだって。 そもそもディーはキツネ狩りなんかしないんだしね…。 その瞬間からディーはお家のなかで吠えるのを一切やめた。

ボクが吠えるのをやめたので、ご主人様は「ディー、やっとわかったのね。やっぱりあんたはいい子ね！」ってすごくほめてくれて、お客様が帰った後、特別に和室で思いっきり遊ばせてくれた。 やったあ！お座布団の山を崩したり、掛け布団や机の下でカクレンボしたり、もうやりたい放題！ 「お部屋がメチャメチャじゃないの！」って、また叱られちゃった…。

電話もかけちゃおうかな…。 「もしもし、こちらディーだけど、そちらはどなた？」

おみやげ・・・。

旅好きのご主人様は、時々飛行機に乗って遠くへ行ってしまって、ときには何日も帰ってこないこともある。ディーは置いてきぼりで、お留守番だ。 だけど、「ディーもバカンスね！」って言って、山のふもとにあるほかのお留守番中の犬や猫がいっぱいいる広〜いお家に預けられるんだ。「じゃあディー、行ってくるからね。ほかのワンチャンたちと仲良く遊んで待ってるのよ。」 最初はちょっと遊びに来ただけで、晩になったら迎えに来るのかな、と思っていたら、次の日も、また次の日も、ちっとも迎えに来なかった・・・。もしかしてディーを迎えに来るのを忘れちゃったのかな・・・ってだんだん不安になってきたころに、すっかり日に焼けたご主人様が現れて、「ディー、いい子にしてた？さあ、お家に帰ろう！」って上機嫌で言って、ディーを車でお家に連れ帰った。ディーの不安な気持ちも知らないで・・・お家に帰ってもちょっと拗ねてると、「ディー、怒ってるの？ちゃんとおみやげ買ってきてあげたのよ！」って、新しいお洋服を二つ―緑色のと茶色のと―バッグから取り出した。 「ほら、このホネのマークが付いた服なんか、食いしん坊のディーにぴったりでしょ！」胴が長いディーにはちょっと短すぎるけど、結構気に入っちゃったかな…。

さっそく着てみて記念撮影。 どう？なかなか似あってる でしょ？ 最初はカメラ目線でポーズ 取ってたけれど…

カメラの前でおすましするの、もうすっかり飽きちゃったよ！

新しいお洋服でお散歩行こう！