Mes Jours des Ecumes
　　　　　　　―ディーノのうたかたの日々―

犬生は短い・・・。だからディーは毎日一生懸命生きてるんだ。

そんなディーの生活を紹介します。

「ジャックの新年会」・・・みんなとの再会

年が明けて間もないある日、ボクの2番目のお家のお父さんから
ご主人様とボクに招待状が届いた。

「今度の日曜日、ジャックの新年会を開催します。遊びに来ませんか？」

ずっと会っていないきょうだいたち、1カ月一緒に過ごしていろんなことを
教えてくれた大人のジャックのCocoとMitsuko、それに会ったことのない
ジャックたちも、たくさん集まるんだって！

「行こうよ、行こうよ、ご主人様！ディーみんなに会いたいよ！」

こうしてディーはご主人様の車に乗って、山のふもとの坂道に立つ
なつかしい2番目のお家に行って、みんなとの再会を果たした。
それからみんなで、大勢のジャックたちとそのご主人様たちみんなで、
山登りをしたんだ。

これ、ぜ～んぶジャック！ディーがどこにいるかわかる？

Ｍｉｔｓｕｋｏ、唯一の男兄弟のベルとディー。

妹のメイと。シッポがそっくりでしょ！

「久しぶりだね、みんな！」Coco、妹のポォー、Mitsukoto.と。

ディーは男の子2人女の子3人の5人きょうだいの

二男だ。

5人は生まれて1カ月で生まれたお家から2番目

のお家に引っ越して、今はそれぞれ別々のお家で

暮らしている。ポォーだけは、今も2番目のお家に

残って、CocoやMitsukoと暮らしてる。.

きょうだいと再会するのは、1年4カ月ぶりだった。

ベルとは男の子同士だから、一番たくさん遊んだ

ものだ。小さい頃は、ベルは強くってケンカすると

ディーがいつもやられてたっけ・・・。

「よっ、兄弟、久しぶりだね！」

「あのね、ディーノ・・・」「え、なになに・・・？」

気がつくと、すぐに取っ組み合い…。

男どもの乱闘をおすまし顔で静観・・・。

同じジャックでもこれだけたくさん集まれば、

十匹十色。

大きさも、行動パターンも、ファッションも・・・。

手前の子、すご～く大きいね。
「一人だけコーギーが混じってる・・・」ってご主人様は
思ったんだって…。

何とも奇妙な体勢のCocoとベル・・・。」

そして、ファッションもさまざま…。

雨の日の過ごし方・・・。

今日は何だか朝からイヤな予感…。ご主人様がカーテンを
開けると、予感的中だ・・・ディーの大好きな日差しはちっとも
入ってこない。
灰色の雲を見つめるボクを抱き上げたご主人様は、
空いてるほうの手で窓を開けて、落ちてくる大きな雨粒を
捕まえて言う。「ほら、雨だよ、ディー。今日はお散歩には
行けないね…。」「えっ・・・、今日はお散歩なしなの？」
ディーの一番の楽しみなのに…。

仕方ない、こんな日はお家のなかでサッカーだ。
サッカーしてるときは、犬でよかったな、と思う。
手がないんだもの、「ハンド」を取られる心配はないし、
4本の脚を自由に使えるんだから、断然有利だ。
ボール・ポゼッションは75％を下回ったことはない。
2本脚のご主人様は、時々くやしそうにボクが前脚で
つかんでるボールを手で奪ったりするんだ。
もちろん「ファウル！」って抗議して、結局はディー・ボールに
なるんだけどね…。動体視力抜群のディーには、
ご主人様のフェイントも全く通用しない。

ゲーム・スタート！今日はどっちのボールでやろうか？

コイン・トスでグリーンに決定。

奪えるもんなら奪ってごらん！

あれ・・・ボールが変な所に入っちゃった…。

そろそろハーフ・タイムでおやつにしない？

ゴール・キーパーもやるんだ。「守護神ディーノ」って呼んでよ！

ある晴れた日に・・・。

曇りの日が続いた後の冬のある朝、ずっと隠れていた太陽が
今までためてた光を全部いっぺんにばらまこうとしてるみたいに
輝いてる・・・。

ディーはこんな朝が大好きなんだ。

冷たくて澄んだ冬の空気が気持ちいい・・・。寒がりのディー
だけど、何だか心が騒いでお家でじっとなんかしていられない。

いつもの河原では水面が宝石が浮かんでるみたいにキラキラ
光ってて、思わず飛び込んでみたくなっちゃう。毎日がこんな日
だったらいいのにな…。

ご主人様、まだ～？早く出かけようよ！

遅いなあ…。もう待ちくたびれちゃったよ！

澄んだ空をバックに

シルエットになった

風見鶏・・・。

ディーの影も今日は

いつもよりくっきり

見える・・・。

今日は空気が澄みきってるね…。

水面がまぶしい！

そろそろお腹すいてきちゃったんだけど…。

ここでおやつにしようよ！

宝石が浮かんでるの？ひとつディーが取ってあげようか…？

春はきっとすぐそこ・・・。

初めての雪遊び…ディーが生まれて最初の冬は、このあたりには雪が積もらなかった。だから雪に触れたのは、2回目の冬だった。

もうすぐ春が来ると思っていた2月も半ばのある朝、
普段はお休みの日は朝寝坊のご主人様が珍しく
早くからお外に出る準備をしていた。

「ディー、見てごらん！夜のうちに雪が積もったのよ。」

雪…？窓の外を見てみると、地面も木も隣の家の
屋根も、昨日遊んでたディーの真っ赤な大きなボールも、
何もかも真っ白いふわふわしたものに包まれていた。
あれなんだろう？おいしそうだな、なんだか甘い味がしそう・・・。

寒い日用の服を着て、お外に飛び出した。わあっ、
冷たい！でもやわらかくって気持ちいいな。
夢中で駆けまわる。真っ白いじゅうたんのいたるところに
ディーの足跡をつけちゃうんだ！あっという間にじゅうたんは
デコボコだらけになっちゃった。でも気がつくと、足が冷たくって
痛くなって泣きたくなってきた・・・。

お外の馬酔木もこの通り。

かき氷になっている！

甘そうだな…。

ちょっと味見してみよっと！

昨日蹴って遊んでたディーのボールが・・・。

凍っちゃって、ビクともしないや・・・。

足跡いっぱいつけちゃうぞ～！

足が冷たくなってきちゃった…。

凍えそうだよ…。

もうお家に入ろうよ…。

だけど雪はすぐに溶け始めて・・・

露になって消えて行った。

そして春が来た…2度目の桜の季節。

ディーのお家に雪が積もった日から何日かが過ぎて、空気はだんだんあたたかくなり、
春の花の甘い香りが漂うようになってきた。

お散歩のときに服を着せられることもなくなった。ディーはやっぱり裸が好き・・・
風や草の感触を全身で感じながら走るのが大好きなんだ。

ここ数日、町がなんだかいつもと違う雰囲気に包まれている。
急にお外を歩く人間たちの数が増えてきて、みんな上を向いて歩いてて、
時々立ち止まっては夢中で写真を撮っている。上を向いても、下を向いても、
そして風のなかにまで、ピンクの花びらがいっぱいの日々…きっと一年のうちでも
特別な時なんだね…。

春の花の色と味と香りを味わいながらお散歩してるんだ…。

そして、季節は巡る・・・。

桜のピンクの花びらが、少しずつ緑の葉っぱに変わって行って、
最後には緑一色になってしまった。

やがて薔薇の花が開き始め、その花びらも散ってしまった
ころには、あちこちでアジサイが顔を出し始めた。

それと同時に雨の日が増えて、時々散歩に行けない日があった。
大きくてふわふわしてて、キラキラ光る露を乗せたアジサイが
ディーは大好きだけど、散歩に行けない日は一番悲しい・・・。

お外に行けなかった日の翌日は、昨日の分まで取り返そうと
いつもの2倍思いっきり走り回るんだ。

アジサイって色んな

形や色があるんだね…。

雨上がりには花びらの

上で小さな露の玉が

光ってて、特にきれい

なんだ。

昨日雨でお外に出られなかった分、思いっきり走ってエネルギーを発散してるんだ！

そして、ディーが2回目の

お誕生日を迎えると、

暑い夏がやってきた。

散歩に行きたくっても、

「まだ暑いから駄目よ」っ

て、陽が落ちるまで連れ

て行ってもらえない。

写真撮ったんでしょ？もうケーキ食べていい？

「ハッピーバースデイ、ディーノ！」

お散歩の時間までテレビでも観て待ってるか…。

つまんないなあ・・・こんなときに限って面白いのやってないんだから・・・

あ～あ・・・退屈…。

ディーもうダメ・・・なんか面白いことないの…？

やっとこれから出発だって。ただいま玄関でご主人様待ち。

まだ～？準備長すぎ…。

ノルウェイの森…。

「ノルウェイの森へ行こう！」

暑い夏が終わって、草むらに涼しい風が吹き始めたある朝
ご主人様が言った。「ノルウェイ…？」無理だよ、そんな遠い所！
ディーは車が苦手なんだから。
「ポォーも来るよ。CocoやMitsukoとも会えるよ。」

またたくさんのジャックたちと遊べるんなら、勇気を出して行ってみようか…。
恐る恐る車に乗って二人で出発した。ご主人様はディーと違って
車が大好き。何時間でも平気で楽しそうに運転してるんだ。
真っすぐな道をビュンビュン飛ばしたと思ったら、今度は曲がりくねった
山道を登り始めた。「もうダメだよ…。やっぱりノルウェイなんて
ディーには遠すぎるよ…。」ボクがもう車に酔って気が遠くなって来た頃に、
やっと車は止まった。

「ディー、お疲れ様。着いたよ。」車からよたよたはい出すと、
そこには草原が広がっていてたくさんのススキで輝いていた。
そして車からはどんどんジャックたちが出てくる！
いつの間にか車酔いは吹き飛んで、みんなで駆けまわっていた。